じつは、高齢者のかなり高い割合が、住宅のなかで事故に遭っています。いちばん大きな原因は「転倒」です。「つまずく」か「すべる」かで転んでいるのです。厚生省の人口動態統計(一九九七年)によると、住宅のなかで亡くなった六五歳以上の人は、一年間に七四八三人もいました。この数字は、同年代の交通事故死者四五四九人を上回っています。事故だけでなく、住宅が健康を害する原因のひとつにもなっています。欧州では、お医者さんのところにいきますと「どういうところに住んでいるんですか」と聞かれますが、日本では、そんなことを聞くお医者さんはあまりいません。「新築病」や「シックハウス症候群」がこれだけ深刻になっても、医学から住居へのアプローチがなされていないのです。一九七五年と九四年を比較すると、国民医療費は全体で四倍増えていますが、高齢者医療費はじつに九倍と、倍以上の速さで増えています。
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