住まいの中の各空間の存立を、そこに祀られる神から探った研究にならって、韓国の伝統的住居に祀られていた神々を見ることにしよう。伝統的家族には二つの異なった宗教が共存していた。ひとつは男子中心の儒教的祭礼、いまひとつは主婦が主管する家神である。京畿道では、家神はアンバンにいる祖霊、カマドにいるソンジュ、台所にいるチオクン、チャンドクテにいるトジュとイプ、便所にいるチクカンガクシ、大門を守るムンジャングンなどである。
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これらの守護神は家を保護し、家族員に心理的安定を与える。これは主婦の役割に通じる。アンバンには祖霊と産神が祀られた。だれもが臨終時にはアンバンに移されたともいう。家族員の生から死、さらに次の世代の生へと、代々の人々がアンバンにおいてつながっていくかのようである。その上このような部屋は女性の部屋であるのがふさわしいのかもしれない。また、家ごとの儒教的祭事を司るのが家長の重要な役目だったのに対し、これら多くの古代からの神々を祀るのは主婦の仕事であった。儒教以前の神を祀る部屋であり、その担い手の〈主婦のへや〉であるアンバンは、韓国住居の中に、サランバンやテーチョン(大庁)よりも古くから存在したのではなかろうか。