リラクゼーション施設としての風呂

2011.10.14

別荘地などの高台に建つセカンドハウスでは、時々全面ガラス張りのお風呂を見ることがある。裸が自慢の人のためのつくりではなく、お風呂に入りながらパノラマのように広がる景色を楽しむための工夫である。また、都心に建つマンションのお風呂でも、隣に坪庭が設けられ、お風呂から緑を観賞できるという心遣いが感じられるものがある。こうした工夫が施されたお風呂を見ていると、お風呂は単に体の汚れや臭いを取り除くためのものではなく、一種のリラクゼーション施設なのでは、と改めて感じてしまう。そもそもわが国のお風呂の歴史を振り返れば、現在のお湯に入る形式(湯浴)とともにサウナ風呂のような蒸気にあたるもの(蒸気浴)の二つの系譜があった。蒸気風呂の存在はほとんど忘れ去られているが、大徳寺や妙心寺などの禅寺の浴室は蒸気風呂であった。大場修によれば、「風呂」という言葉はもともと蒸気浴のことで、浴槽のお湯に入る形式のものは「湯屋」とか「湯殿」と称していたという(『風呂のはなし』鹿島出版会、一九九五年)。その意味では、現在のわれわれの言葉遣いは間違っていることになる。このように混同したのは、江戸時代から明治にかけて存在していた銭湯が、柘榴風呂形式をとっていたからであろう。この柘榴風呂形式とは、浴槽の出入り口が低くて屈んで入るようになっているもので、浴室は湯浴と蒸気浴の両方を兼ねたものであり、低い出入り口は蒸気を外に逃がさないための工夫であった。こうした湯浴と蒸気浴が混在する過程で名称としては風呂が残ったようなのだ。

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